「そして、このビルは立つのであろう。エンライト氏とローク氏の自己中心主義以外の何物をも記念することなく。このビルは、数階建ての安アパートの列とガス会社のタンクの間に立つのであろう。おそらく、こういった事態は偶然のことではない。運命が適材適所を見出す秀逸さの証明なのであろう。この建物の本質的横柄さを、これほど雄弁に引き出す舞台は他には考えられない。この建物は、このニューヨークという街にあるすべての建築物と、それらを建てた人々に対する嘲笑として屹立することになる。確かに我らが建築物は無意味であり、かつ虚偽である。このエンライト・ハウスという建築物は、それを増幅させるつもりだ。しかし、この対照は、エンライト・ハウスにとって利益とはならないだろう。こんなあからさまな対照を作り自らを主張しても、そうすることによって、この建築物は、自らを偉大なる愚行の一部に、それも、そのもっとも滑稽な部分にするはめになるから。太陽の光線が豚小屋に注がれるとき、我々にその豚小屋の泥を見せつけるのは、その光線である。つまり、我々の感情を害して傷つけるのは、この光線ということになる。したがって、このニューヨークという街にあるすべての建築物は、このエンライト・ハウスと比較すれば無名であり、世間にさらされることもなく、臆病にも派手にふるまう必要もないという利点がある。さらに、従来の建築物は、我々にぴったりあっている。エンライト・ハウスは鮮やかで大胆である。まさに羽毛でできた襟巻きのごとく豪華である。この建物は、人々の注意を集めざるをえないだろう、どうしても。しかし、人々は、ローク氏の奇想のとてつもない大胆不敵さに対してのみ注目する。この建物が実際に立ち上げられたとき、その姿は、我らがニューヨークの顔の傷になるだろう。しかし、傷というものは、彩(いろどり)にもなりうる」
この文は、ドミニク・フランコンが書いたものである。キキ・ホルクウム邸でのパーティの一週間後に、ドミニクの書いたコラム「あなたの家」に掲載されたものである。
このコラムが新聞に載った朝、エルスワース・トゥーイーが新聞社のドミニクの仕事場に現れた。トゥーイーは、『バナー』を手にしているが、彼女が書いたコラムが載ったページがドミニクに見えるように持っている。トゥーイーは、小さな足の上で少し揺れるように黙って立っている。彼の目は、笑いというものが目に見えるものとなって、大きくうなっているようである。なのに、彼の唇はとりすまして硬く閉じられている。
「で?」と、ドミニクは訊ねる。
「あのパーティの前に、どこでロークに会ったのですか、君は?」
ドミニクはトゥーイーの顔を眺める。ドミニクは、片腕を椅子の肩に放り上げ、椅子の背に回している。鉛筆を指のあいだに不安定にはさみ、ぶらぶらさせている。ドミニクは微笑んでいるように見える。彼女は答える。
「あのパーティの前に、ロークに会ったことなど一度もありません」
「私の間違いでしたか。私は、てっきり疑ってしまって・・・」
「ああ、あのこと?あの人に会ったとき、私は好きになれませんでしたから。パーティで会ったときのことですが」
「それは私にもわかっていたけれど」
「エルスワース、お掛けになったら。あなたは立ってらっしゃると、素敵に見えませんわ」
「いいのですか?忙しくありませんか?」
「特に忙しくありません」
トゥーイーは、ドミニクの机の端に腰をおろす。考え深げに、折りたたんだ新聞で膝を打っている。それから、おもむろに言う。
「ドミニク、これはいただけません。全くいただけません」
「なぜでしょうか?」
「行間から何が読めるか、君にはわかりませんか?もちろん、多くの人間は気づきません。しかし、彼ならわかる。私にもわかる」
「このコラムは、彼やあなたのために書かれているわけではありませんから」
「じゃあ、その他おおぜいのためにですか?」
「その他おおぜいのために、です」
「それじゃあ、これは、彼や私に仕掛けた下らない悪戯(いたずら)でしかありませんね」
「そうでしょうか?私は、なかなかのできだと思いますけど。彼自身のやり方とその他の世間の人々を対比させています」
「君は何を書くつもりなのですか、これについて?」
「これについてって?」
「エンライト・ハウスについてですよ」
「何も」
「何も?」
「何も」
体を動かさずに、ただ手首を前方に動かして、トゥーイーはドミニクの机の上に新聞を投げる。それから、こう言う。
「ドミニク、建築のことならば、なぜ君は、コスモ=スロトニック・ビルについて書かないのですか?」
「あれに、書くに値することがあるのでしょうか?」
「大ありですよ。君が書かないことで大いに不快がる人々がおおぜいいます」
「そのような人たちに、こちらが大いに気にかけるような価値があるのでしょうか?」
「そう思えますがね」
「どんな人たちがいるというのでしょうか?」
「さあ、それは私にはわかりません。誰が記事を読むかは、我々にはわからない。だからこそ、事(こと)が面白くなるわけです。我々が会ったことのないような、話したこともなければ、話すこともできない見知らぬ人々、全くの他人がいる。そして、彼らが我々の答えを読むことができるこういう新聞が存在する。もし、我々が彼らに答えを示したいのならばね。私は、ほんとうに思うのです。あのコスモ=スロトニック・ビルについて数行だけでもうまいことを、君が書くべきだってね」
「随分、ピーター・キーティングがお気に入りのようですね」
「私が?確かに、ピーターのことは大いに気に入っています。君も、いずれそうなります。結局のところね、彼をもっとよく知れば、そうなります。ピーターは、知り合って大いに役に立つ人間だ。君は近いうちにでも、彼の話を聞くために時間を割いてみたら、どうかな」
「たとえば、何を彼から聞きますの?」
「たとえば、彼がスタントン工科大学に行っていたこととか」
「そんなことは知っています」
「それは興味深いことだと思いませんか?私は思います。素晴らしいところですよ、スタントン工科大学は。ゴシック建築の見事な例です。礼拝堂のステンド・グラスの窓は、この国の中でも、もっとも高雅なもののひとつです。それから、そう、考えてみてください。実にたくさんの若い学生たちが、そこにはいる。みな、それぞれに違っている。素晴らしい名誉を受けて卒業した者もいれば、退学になった者もいる」
「で?」
「君は、ピーター・キーティングがハワード・ロークの昔からの友人だということ、知っていましたか?」
「いいえ。そうなのですか?」
「そうなのです」
「ピーター・キーティングは、みんなの昔からの友人ですわ。誰の友だちにでもなる人ですから」
「言えてます。見上げた青年です。しかし、これは、そういうことではないのですよ。あのロークが、スタントン工科大学にいたことを君は知っていましたか?」
「いいえ」
「君は、ローク氏について、あまり知らないようですね」
「私は、ローク氏について、何も知りません。私たちは、ローク氏について話しているのでは、なかったのではありませんか?」
「だったかな?そうですね、そう、我々は、ピーター・キーティングについて話していたのでしたね。そう、あることを理解するのに比較対照してみると、よくわかるということがあるでしょう。君の担当のしゃれた小さなコラムで、君が今日書いていたようにね。ピーターという人物をきちんと評価するには、比較してみるというのがいいですよ。ふたつの平行線を例に考えてみましょうか。私は、ユークリッドに賛成したいのですが、つまりこのふたつの線は、今後交差することはないと思いますね。さて、このふたつは、どちらもスタントンに行った。ピーターの母親は、下宿屋みたいなものを経営していて、ロークがそこに3年間いて、ピーターと彼の母親といっしょに暮らしていたと。このことに大した意味はないですがね。その事実は、このふたりの対照を一層際立たせるだけの話でね。その事実は、またその対照を、さらに個人的にすることになりますが、まあ、それはもっと後になってから起きること。ピーターは、優秀な成績で首席で卒業した。一方、ロークは大学を退学になったと。そんな顔で見ないで、君。なぜロークが退学になったか、君に説明する必要はないでしょう。我々にはわかりますからね。君と私にはね。で、ピーターは君のお父さんの事務所に就職したと。今じゃ、彼は君のお父さんの共同経営者だ。ロークも君のお父さんのところで働いていたが、追い出されると。そうなんですよ、彼は、お父さんの事務所にいたのですよ。ねえ、こりゃ面白いじゃありませんか。君から何か助けられたわけでもなく、彼はあの当時、君のお父さんの事務所で働いていたんですからね。で、ピーターは、コスモ=スロトニック社のビルを設計する栄誉を得た。ロークは、コネティカットのホットドッグを売るようなダイナーつきガソリン・スタンドを設計したと。ピーターは、いっぱいの契約書に署名して、ロークは、浴室やトイレ内装業者にさえ知られることはないと。今や、ロークはあるアパートの設計にかかっていて、その仕事は、彼にとってはひとり息子のように貴重だ。一方、ピーターにとっては、エンライト・ハウスの設計を担当することになったとしても、そんなこと気にも留めることはないと。ピーターにとっては、そんな程度のものは毎日手に入る仕事ですからね。が、ロークがピーターの仕事を気にかけているとは、私は思いません。ロークという人物は、そんなことを気にかけたこともなければ、これからも気にかけることなどいっさいない。何が起ころうとね。この人物の取る進路をもう一歩先に見てみますか?誰だって打ち負かされるのは好まないものです。しかしねえ、この人物の目からすれば、凡庸さというものの典型例でしかない人間に打ち負かされるというのはねえ、この凡庸の代表のような人間の傍らにいることから人生を初めて、その凡庸の代表のような人間が、どんどん出世していくのを目の当たりにするというのはねえ。自分は苦労に苦労を重ね、顔を踏みつけにされるような目にしかあわなくてね。その凡庸の代表みたいな奴が、自分のつかむべきチャンスを、次から次へと自分の手から奪い取っていくのを見る羽目になるわけでね。その凡庸の代表みたい奴は、人から崇(あが)め奉られているのに、自分ときたら、望むものを手に入れ損なってばかり。凡庸の代表みたいな奴は、神殿に高く君臨しているのに、自分は負け犬で、犠牲にされるばかり。人からは無視され、ひたすら何度も何度も打ちのめされるばかり。それも、神々のひとりのような天才によってではなくて、ピーター・キーティングのような人間によって打ち負かされるのですからねえ。ねえ、我が愛するお嬢さま、こんな状態に匹敵する迫害とか拷問というのは、スペインの宗教裁判でも考えつかなかったと思いませんか?ねえ?」
「エルスワース、出て行って!」
ドミニクは叫んでいる。ドミニクは立ち上がっている。一瞬は、まっすぐ立っていたけれども、すぐに、机の上に両の掌を押しつけ、前方に沈むように前かがみになる。その動きにつれて、ドミニクの髪が重く揺れ、それから動きをとめてドミニクの顔を隠す。トゥーイーは、ドミニクの変化をじっと見ている。彼は楽しげに言う。
「ドミニク、私は、ピーター・キーティングが実に興味深い人物だということを話しているだけですよ」
ドミニクの髪がモップのように後ろに振り上げられる。顔も同じ動きをする。ドミニクは、椅子にドサリと腰をおろす。目は、じっとトゥーイーに注がれている。ドミニクの口元は緩み、常になく非常に醜い。
「ドミニク、君って露骨ですねえ。あまりに露骨ですよ」と、トゥーイーは、優しく言う。
「エルスワース、出て行ってください」
「ねえ、私はいつも言っていたでしょう。君は私を過小評価しているって。何か君に助けがいるときは、私のところにいらっしゃい」
ドアのところで、トゥーイーは振り返り、こう付け加える。
「あれこれ、さきほど言いましたけどね、もちろん、私としては個人的には思っていますよ、ピーター・キーティングが現在のところもっとも偉大な建築家だってね」
その晩ドミニクが帰宅したとき、電話が鳴った。電話を通して、心配げに喘いでいるような声が聞こえる。
「やあ、ドミニク。ねえ、君はあれ本気なの?」
「どなた?」
「ジョエル・サットンだよ。僕は・・」
「あら、こんばんは、ジョエル。私が何を本気ですって?」
「やあ、こんばんは。元気かい?君の魅力的な父君もお元気かな?いや、そのあのエンライト・ハウスとロークという奴について、君が書いたことだけど、あれ本気なの?その、君がコラムで書いていたことだけど。僕は、ちょっとあわててしまったよ。ちょっとね。僕がビルを建てるってこと知っているよねえ。どんどん、ことが進んでいるのだけれども、かなり金のかかることだからね。だから、決定には慎重を期さなければならないと思ってね。で、僕は、とりわけ君を信頼しているから。ずっと君を信頼してきたんだよ。君は頭のいい子だから。実に頭がいいからね。ワイナンドみたいな奴のところで仕事するなんて、君は自分の才能がわかっているのかなと僕は疑うよ。ワイナンドは、建物のことはよくわかっている。あの男は、新聞のことよりも、はるかに不動産のことを知っている。いや、ほんとうにそうなの。あまり、世間では知られていないことだけどね、僕は知っているんだな。で、ワイナンドのところで、君は仕事をしている。で、僕は、今、どう考えるべきか困っている。なぜならば、僕は決めたばかりだったので、うん、絶対的に決定的に決めたところだったんだよ。ほぼね、あのロークっていう奴に設計を依頼することをね。実際に、彼にそう言ってしまったしね。明日の午後、契約書にサインしに来ることになっているんだよ、彼は。で、さて今は・・・ねえ、君は、ほんとにそう思うかい?エンライト・ハウスって羽毛の襟飾りみたいなものだって?」
「あのう、ジョエル、明日のお昼をごいっしょいたしませんこと?」
ドミニクは、歯をきりりと噛み締めている。
ドミニクは、贅沢なホテルの、だだっ広い客の入っていない食堂で、ジョエル・サットンに会った。白いクロスのかけられたテーブルの並べられた食堂には、少ない客が離れ離れのテーブルについているので、客はそれぞれに目立っている。
だから、空席の多いテーブルは、客たちがそれぞれに自分たちだけの空間を作り主張できるだけの優雅な舞台背景となっている。ジョエル・サットンは晴れやかに笑っている。彼は、同伴して大いに自慢できるような女と、つまりドミニクのような特別な美女とふたりきりで食事をしたことはなかったから。
テーブル越しにジョエル・サットンと向き会いながら、ドミニクは言う。声は静かで落ち着いているが、ドミニクは笑っていはいない。
「ねえ、ジョエル。あなたが、ロークをお選びになったのは素晴らしいお考えでしたわ」
「え、そう思うかい?」
「そう思いますわ。賛美歌のように美しいビルになりますわ。あなたが息をのむようなビルになりますわ。あなたのビルの部屋を借りる人々も、またそうなるでしょう。百年後の後世の人々は、あなたのことを歴史に書き残しますわよ。そして、ポッター霊園で、あなたのお墓を探し出すことでしょう」
「驚いたなあ、ドミニク、いったい君は何を言うつもり?」
「あなたのビルについて、お話しております。ロークがあなたのために設計するであろうビルがどんな種類のものかについて。ジョエル、それは、偉大な建築物になりますわ」
「本気で言っているの?いいって?」
「私、いいとは申しておりません。私は、偉大だって申しました」
「同じ意味ではないのかな」
「いいえ、ジョエル、同じ意味ではありませんわ」
「僕は、『偉大な』ってのは、好きではないなあ」
「ええ。あなたはお好きではありませんわね。あなたは、そういうものはお気に召さないと思いますわ。ならば、いったいロークに何をあなたはお求めなのかしら?あなたは、誰にもショックを与えないような建物がご所望でしょう。一般的に人好きして、居心地が良くて、安全で、クラム・チャウダーの匂いのような懐かしいような、古い居間のような建物がお好きでしょう?誰もが好きになるような建物ですわ。どんな人間でも好きになるような。ジョエル、英雄であることは快適なことではありません。だから、あなたは、そんなことに向いた人物などに用はありませんでしょう」
「そうだねえ、もちろん、そりゃあ、誰もが好きになるようなビルが欲しいよ、僕は。でなければ、僕は何のためにビルを建てるって言うんだい?まさか、僕の健康のためとか?」
「そうではありませんわね、ジョエル。それから、あなたの魂のために建てるわけでもありませんわね」
「ねえ、やはりロークは良くないと言いたいわけかい?」
ドミニクは背を伸ばし、しっかりと座りなおす。全ての筋肉を、痛みがあるにも関わらず、しっかり引き締めるかのように座りなおす。きっぱりと彼女は言う。
「ロークが手がけた建物を、あなたはご覧になったことがありますか?ロークに仕事を頼んだ人たちにお会いになったことがありますか?」
「いや、、ないよ」
「ですわね」
「しかし、僕が思うに、エンライトが選んだくらいだから・・・」
「ジョエル、あなたはエンライトではありません。たとえば、エンライトは、そんなに微笑みませんもの。それから、エンライトは私の意見など訊ねもしないでしょう。あなたは訊ねて下さいましたけれども。だから、私は、あなたが好きです」
「ドミニク、僕のこと、ほんとうに好きかい?」
「ずっと前から、いつだって、あなたは私の一番のお気に入りの方々のおひとりです。ご存知なかったの?」
「僕は・・・僕は、いつも君を信頼してきたからね。いつでも君の意見は聞くつもりだよ。僕はどうすべきだと思う、君ならば?」
「簡単なことです。あなたは、あなたのお金で買うことのできる最上のものが欲しいわけです。お金で買えるようなもののうちの最上のものを。そういう建物が、つまりあなたが出すお金にふさわしい建物が欲しいわけです。ですから、他の人々が雇うような建築家が必要になるのではないかしら。そうすれば、あなたも、その人たちと同じくらい良いということを、その人々に、あなたは見せつけることができます」
「そうだ。まさしく、そうだね・・・おや、ドミニク、君は料理にほとんど手をつけてないね」
「わたくし、お腹が空いておりませんのよ」
「じゃあ、君なら、どんな建築家を推薦する?」
「ジョエル、お考えになって。今、このとき、誰もが噂する人は誰かしら?誰が、あらゆる設計料を手に入れているかしら?若くて、有名で、安全で、人気があるのは、誰かしら?」
「そうだね・・・それは・・・ピーター・キーティングかなあ」
「ジョエル、そうですわ。ピーター・キーティングです」
(第2部21 超訳おわり)
(訳者コメント)
ドミニクが新聞のコラムに書いたローク設計のエンライト・ハウス批判は、一見は批判に見えるけれど、実は絶賛だ。
これ以上はないというくらいの手放しの絶賛だ。
こんな素晴らしい建物は、俗悪なニューヨークに置いたらまずいですよ、と言っている。
エンライト・ハウスに比較すれば、他の建築物など「豚小屋」だと言っている。
ドミニクのローク設計絶賛記事を読んで、エルスワース・トゥーイーの嫉妬と悪意に火がついた。
トゥーイーは、わざわざドミニクのオフィスに来て、ロークに惹かれているらしきドミニクに対して、ロークのような人間がこの現実の社会でどんな目にあうか、長々と嫌味ったらしく言う。
結局は、この世はろくでもないのであって、ピーター・キーティングのような中身のない凡庸な建築家の方が成功し、ハワード・ロークのような非凡な建築家は世に理解されずに朽ち果てていくのだよ、と言う。
「私がそうしてみせますよ」と、トゥーイーは暗に宣言しているのだ。
トゥーイーは、俗悪で思慮のない易きに流れる世間を味方につけているのだから、絶対にロークを潰せると、暗に宣言しているのだ。
ここのトゥーイーの長台詞は、昔に勤務していた大学の上司の口調を真似して訳した。
きもい奴だった!
「こんな奴、癌になって死ね!」と呪ったら、その通りになりました。
すみません。
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